2008年03月30日
イワンのばか あらすじ後半
このあらすじは、中村白葉訳「イワンのばか」(岩波文庫)を基にしています。
全9編の短編がありますが、前半、後半とページを分けています。
前半(イワンのばかとそのふたりの兄弟〜鶏の卵ほどの作物)
後半(洗礼の子〜三人の息子)
前半では、この作品集で最大の作品である「イワンのばかとそのふたりの兄弟」を中心に紹介します。
後半では、「イワンのばか〜」に次いでボリュームがある「洗礼の子」を中心にして紹介します。この作品は「イワンのばか〜」にも劣らない内容を持ち、特に最後のシーンは胸にせまるものがあります。
(以下、前半からの続き)
洗礼の子
この作品集中の隠れた名作。善意や正義感から出た行為から罪を犯してしまい、その罪を償うために旅に出た少年が、苦難の年月を経て遂に真理に到達します。
主な登場人物は、洗礼の子、洗礼親である旅人、洗礼の子を導く老僧、追剥など。
一人の旅人に洗礼親になってもらった子が、成長してから洗礼親を探す旅に出ます。旅の末、洗礼親に出会いますが、洗礼親は彼を不思議な宮殿に連れて行きます。
宮殿で暮らし始めた洗礼の子は、あるとき、封印された部屋に入ると、そこには玉座と笏があり、そこから全世界の出来事を見ることが出来ました。
家族の様子を見ていた洗礼の子は、母親が泥棒に殺されそうになっているのを見て、思わず手にした笏を投げつけると、それは泥棒を打ち殺してしまいます。
そこへ来た洗礼親は彼に言います。
「あの男は、自分でその罪をつぐなわなければならなかったのに、おまえがあの男を殺してしまったから、その男の罪をみんな自分に引き受けてしまうことになった」
(中略)
「この世からおまえがつくっただけの罪をとりのけたら、その時はじめておまえは、自分の罪と泥棒の罪をつぐなうことになるだろう」(本文より引用)
こうして洗礼の子は罪をつぐなうための旅に出ます。
「人が悪を追いまわせば追いまわすほど、悪はますますふえひろがる。つまり、悪でもって悪をとりのけることは、できないのだ。ではなんでとりのけたらいいのか」(本文より引用)
旅の末に、洗礼の子は一人の老僧と出会い、老僧のいいつけどおり、三つの木ぎれの燃えさしに口に含んだ水をかけるという行をひたすら繰り返す生活に入ります。
そのような静かな生活を送るうちに、洗礼の子の前に一人の追剥が現れます。
「おれは追剥だ」とその男は言った。「街道を乗りまわして、人を殺すのが商売だ」
(中略)
「どうしたらこういう男の悪をとりのぞくことができるだろう?」(本文より引用)
ここから、追剥を悔い改めさせようとする洗礼の子と、彼を殺してやると脅す追剥の長い戦いが始まります。
洗礼の子は、始めは追剥を恐れますが、次第に死を恐れる気持ちがなくなります。
「おれは手めえに言ってある、こんど会ったら殺してやるとな。放せ!」
洗礼の子は恐れなかった。
「通すものか」と彼は言った。「わしはおまえなんかこわくない」(本文より引用)
そして、追剥のことを憐れんで本気で涙を流したときに、追剥の心も遂に動きます。すでに二十年の月日が流れ、洗礼の子も今では老人となっていました。
「これ、兄弟よ!」と彼は言った。「どうぞ自分の魂をもっと大切にしておくれ!おまえの中には神様の魂が宿っているのだよ」
(中略)
追剥は目を上げて、洗礼の子を見た。しばらくじっと見ていたが、急に馬からとびおりて、洗礼の子の前へひざまずいた。
「おじいさん、おまえはとうとうわしに勝った」(本文より引用)
罪のつぐないができたと知った洗礼の子は、追剥に全てを話して死にます。そして、悔い改めた追剥が彼の後を次いで人々に教え始めます。
三人の隠者
ある僧正が、小さな島に住む三人の風変わりな隠者の噂を聞いて、船で島に訪れます。素朴で無知な隠者たちに、僧正は祈祷の仕方を教えますが、実はこの隠者たちは不思議な力の持ち主でした。
「ああ、たいへん!隠者たちが、まるで陸の上のように海の上を駈けて、わしらを追っかけてくるぞう」(本文より引用)
悔い改むる罪人
罪のうちに七十年の生涯を送った男が死の直前に悔い改めます。死後、天国の入り口まで来た男は、閉ざされた門の前で中へ入れてくれるよう訴えます。
と、とびらの中から声があって――「天国のとびらをたたくものはだれか?そのものは一生涯のうちにどんなことをしたのか?」(本文より引用)
作男エメリヤンとから太鼓
貧しい作男のエメリヤンは、突然現れた不思議な娘を嫁にします。エメリヤンの妻をみそめた王様は、エメリヤンに無理難題を押し付けて、妻を奪おうとしますが、妻の言葉どおりに行動すると不思議なことが起こってピンチを切り抜けていきます。
「エメリヤン」とつぜん、うしろからこういう声が聞こえた。エメリヤンがふり返ってみると、美しい娘が立っていて、彼に話しかけるのだった。
「エメリヤン、どうしてあんたお嫁さんをもらわないの?」
(中略)
「あたしをお嫁さんにしておくれ」
三人の息子
一人の父親が三人の息子に財産を相続するときに言います。「わしが暮らしてきたようにくらすがいい、そしたらおまえも幸福になれよう」
ところが長男、次男も失敗して破産してしまいます。三番目の息子は、父の言葉をよく考えて一つの答えに到達します。
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