2008年03月30日

イワンのばか あらすじ前半

イワンのばか 

 このあらすじは、中村白葉訳「イワンのばか」(岩波文庫)を基にしています。
全9編の短編がありますが、前半、後半とページを分けています。



前半(イワンのばかとそのふたりの兄弟〜鶏の卵ほどの作物)
後半(洗礼の子〜三人の息子)

 前半では、この作品集で最大の作品である「イワンのばかとそのふたりの兄弟」を中心に紹介します。

 後半では、「イワンのばか〜」に次いでボリュームがある「洗礼の子」を中心にして紹介します。この作品は「イワンのばか〜」にも劣らない内容を持ち、特に最後のシーンは胸にせまるものがあります。


イワンのばかとそのふたりの兄弟

 この作品集の表題にもなっているトルストイの代表作。ここでいう「ばか」とは、主人公イワンの無私無欲、愚直で勤勉という性格を称えたものであって、蔑視的なものではありません。

 主な登場人物は、軍人のセミョーン、商人のタラース、ばかのイワンの三人兄弟、そして、この兄弟を破滅させようとする老悪魔、その手下である三人の小悪魔。

   裕福な百姓に三人の息子がありました。軍人のセミョーン、商人のタラースは父親にせびって財産を分けてもらいましたが、家で百姓をしているイワンは何も求めなかったので、争いにもならず、丸く収まりました。
その様子を見ていた老悪魔は不機嫌になります。

 老悪魔には、財産分配で兄弟のあいだが喧嘩にならず、仲良く分かれたのが、いまいましくてならなかった。で、彼は、三人の小悪魔を呼びだした。(本文より引用)

 老悪魔は三人の小悪魔に、三兄弟に取り付いて喧嘩させるように命じます。
 欲望を煽って破滅させようとする悪魔の手口に、セミョーンやタラースは、すっかり乗せられてしまいますが、イワンだけは、悪魔がいかに妨害しようとも動じず、ひたすら野良仕事に励みます。三人の小悪魔は、逆にイワンに退治されてしまいます。

 その後、三人の兄弟は王様となって三つの国をそれぞれ治めることになります。セミョーンは軍の力で国を治め、タラースは金の力で国を治めましたが、イワンの国では、軍隊も金もありません。

「わたくしどものほうには、俸給を支払う金がございませんが」
「そうか、よしよし!なければ払わないまでのことだ」
(中略)
「あの男がわたくしの金を盗みました」
「そうか、よしよし!つまり入用だったのだろう」
(中略)
「あなたのことを、みんながばかだと申しております」
「そうか、よしよし!」
(本文より引用)


 こんな調子なので、賢い人はみなイワンの国から出て行ってしまい、残ったのはイワンと同じような「ばか」たちだけでしたが、みんなよく働いてお互いを養っていました。

 三人の小悪魔が失敗したことを知った老悪魔は、自らの手で三兄弟を破滅させようと行動を起こします。
 軍隊で治めるセミョーンの国に対しては、無謀な戦争をけしかけることにより、金の力で治めるタラースの国に対しては、大量の金をばらまくことにより、それぞれの国はめちゃくちゃにされてしまいます。

 続けてイワンの国にやってきた老悪魔は、セミョーンやタラースを破滅させたのと同じ方法を使いますが、軍隊も金も必要ないイワンの国ではうまくいきません。

 立派な紳士に化けた老悪魔は、高いやぐらに登り、「手で働くより、頭で働く方が仕事ができる」ということを「ばか」たちに演説します。ところが「ばか」たちは、老悪魔の話を全く理解できません。
 一人でしゃべっていた老悪魔は、空腹のあまり柱に頭を打ちつけます。「紳士が頭で働き出した」と知らせを受けたイワンが、やぐらの前に来てみると、弱りはてた老悪魔は梯子に頭を打ちつけながら下へ落ちてくると地面へ大穴を空けて消えてしまいます。
 老悪魔の知恵をもってしても、イワンの「ばか」を打ち破ることができなかったのでした。

 だれかが来て、「どうかわたくしどもを養って下さい」と言えば、彼は「ああよしよし!」と言う。
(中略)
 この国にはひとつの習慣がある――手にたこ・・のできている人は、食卓につく資格があるが、手にたこ・・のないものは、人の残りものを食わなければならない。(本文より引用)


小さい悪魔がパンきれのつぐないをした話

 貧しくても無欲な百姓が、悪魔の策略により、酒の力によって堕落していきます。

「そこでわたしは、奴にひとつの慰み――酒を飲むことを教えてやりました。(中略)たちまちそのからだのなかに、狐や、狼や、豚の血がわき立ってきたのです。で、今ではもう、あの酒を飲みさえすれば、いつでも獣になってしまうのです」(本文より引用) 


人にはどれほどの土地がいるか

レビュー記事本文参照


鶏の卵ほどの穀物

 子どもたちが不思議な穀粒を見つけますが、誰もそれがなんの穀物であるか分かりません。
 王様は古い時代を知っている老人を呼んで、不思議な穀粒のことを尋ねます。それは遠い昔、人々が無欲に暮らしていた時代の穀物の種子でした。

「それは、人が自分で働いて暮らすことをやめてしまったからでございます。そして他人のことばかり羨ましがるようになったからでございます。昔は暮らしかたがすっかりちがっておりました」(本文より引用)

(以下、後半に続く)

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pjo1062002 at 19:20 │Comments(0)TrackBack(0)clip!ロシア文学  | トルストイ

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