2008年01月24日
クリスマス・キャロル 登場人物
この登場人物紹介は、池央耿訳「クリスマス・キャロル」(光文社古典新訳文庫)を基にしています。
エベニザー・スクルージ
物語の主人公。スクルージ・アンド・マーリー商会の経営者。並外れた守銭奴として知られている老人で、皆に嫌われている。
しかし、物語が進むにつれて、孤独な少年時代や、純粋だった青年時代のあったことが明らかになる。
いやはや、それにしてもスクルージは並外れた守銭奴で、人の心を石臼ですりつぶすような情け知らずだった。(本文より引用)
外気の寒暖はスクルージにほとんど作用しない。
春の陽気に体は暖まらず、冬の寒さに凍えもしない。
肌を刺す風はスクルージの非情にかなわず、降りしきる雪もその頑なな執念にはおよばない。(同上)
人間の生ぬるい共感は無用とばかり、強引に人混みを押し分けて行くことは、スクルージにとって、世間知に長けた人種の言う「心憎い」達人の流儀である。(同上)
ジェイコブ・マーリー
スクルージの商売上の相棒にして、唯一の友人であったが、7年前に故人になっている。だが、クリスマス・イブの夜に、スクルージの前に亡霊として現れる。
生前の行いを激しく悔いている。
マーリーは故人である。何はさておき、まずこのことを言っておかなければならない。これについては、いかなる疑いもさしはさむ余地がない。(本文より引用)
幽霊はそこにいる。たしかに、向こうが透けて見える。だが、その生命を失った冷たい目は異様な光を宿してスクルージを射すくめている。(同上)
「どれほど後悔しようとも、道を誤った生涯は償えないことを知らないとは。この私がそうだった!ああ!私は何も知らなかった!」(同上)
フレッド
スクルージの甥。スクルージの妹の息子である。スクルージの妹ファンは、スクルージの少年時代の幻影にも登場する。彼女は、フレッドを産んでから世を去った。
スクルージから冷たくあしらわれているにも関わらず、伯父のことを慕っている。
「クリスマスおめでとう、伯父さん!神の救いがありますように!」明るく弾んだ声はスクルージの甥だった。(中略)
赤くほてった顔は、どうしてなかなかの男前である。澄んだ目を輝かせて、物言えば吐く息は白かった。(本文より引用)
「考えてみれば、気の毒な人だよ。どうしても、伯父には腹がたたないんだなあ。あの頑固でひねくれた根性で、いつも結局は自分が損をしてばかりだからね」(同上)
ボブ・クラチット
スクルージの会計助手。週給15シリング(1ポンド=20シリング)の薄給で、スクルージから散々小言を言われながら、文句を言わず働いている。
一家団欒の場で、スクルージのために乾杯しようと言い出して、家族のひんしゅくを買ってしまう好人物。
貧しい暮らしながらも、暖かい家庭に恵まれている。特に病弱な末っ子のタイニー・ティムを可愛がっている。
「なあ、みんな。こうやってクリスマスを祝えるのも、スクルージさんのおかげだからな」
「スクルージさんのおかげですって?」クラチットの妻はかっと顔に朱を注いだ。(中略)
「スクルージさんがそういう人なのは、誰よりもあなたが知っているはずじゃないの、ロバート!しっかりしてちょうだい!」(本文より引用)
タイニー・ティムは父親に寄り添って小さな椅子にかけていた。ボブはその縮かんだ手を愛しげに握り、いつまでも傍に置いておきたいと思う以上に、引き離されることを恐れているふうだった。(同上)
取り立ててどうということもない家族である。極くありふれた顔だちで、身なりはみすぼらしい。(中略)
それでいて、みんな幸せで、感謝の心を忘れず、親子兄弟の仲もいい。何よりも、今この時を家族は満ち足りて生きている。(同上)
第一の精霊(過ぎ去ったクリスマスの霊)
スクルージに過去の幻影を見せる精霊。子供とも老人ともつかない不思議な姿をしている。頭から強烈な光を放っている。
物腰は優しいが、嫌がるスクルージに容赦なく過去の自分の姿を見せ付ける。
何とも不思議な姿だった。一見、子供のようでありながら、立ちこめる妖気を透かして、彼方に遠ざかった老人が小さく見えているようにも思われる。(中略)
しかし、何よりも目を驚かすのは頭のてっぺんから迸って当たりを照らす澄んだ明るい光だった。(本文より引用)
精霊は穏和な眼差しでスクルージをふり返った。最前、スクルージの胸に手を置いたのはほんの軽く一瞬だったが、その感触は今も老人の肌に残っていた。(同上)
第二の精霊(現在のクリスマスの霊)
スクルージに、現在の、クリスマスで賑わう街の様子や、貧しい人々が工夫をこらしてクリスマスを祝う姿を見せる精霊。
豪快かつ大らかな気性で、行く先々で人々に幸せを振りまく。
食品の山にゆったり腰を降ろした見上げるばかりの明朗闊達な巨人であった。(中略)
「入れ、入れ!」巨人は声を張り上げた。「こっちへ来て、よく俺を見ろ!」(中略)
巨人の目は深く澄んで優しかったが、真っ向から顔を見合わせることはためらわれた。(本文より引用)
精霊はほとんど有頂天だった。惜しげもなく胸をはだけ、大きな掌をいっぱいに開いて宙を飛びながら、相手を選ばず、底抜けに明るい喜笑をふりまくはしゃぎようである。(同上)
第三の精霊(まだ見ぬクリスマスの霊)
スクルージに未来を見せる精霊。黒衣に身をつつんで顔は見せず、一言も口をきかない。ただ指で指し示すだけである。
目を上げると、黒衣に頭巾の妖しい影が地を流れる霧のように向かってくるところだった。(本文より引用)
どうやら、かなり背が高く、柄も大きいようだったが、それ以上に、奥の知れない謎めいた相手が目の前にいることに、スクルージは畏怖の念を覚えた。精霊はものを言わず、身じろぎもせず、まるで取り付く島もない。(同上)
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