サリンジャー「ライ麦畑でつかまえて」 白水Uブックスサリンジャー「キャッチャー・イン・ザ・ライ」 白水社

2007年11月25日

サリンジャー「ライ麦畑でつかまえて」あらすじ

読みやすさ ★★★★★ (テンポ良くサクサク軽快に読める)
ボリューム ★★★☆☆ (約320ページ、小説としては普通の長さ)

周りのものを調子良くコキ下ろしていく、主人公の痛快な語り口が魅力
 「何故かバカをやってしまう」十代特有の危なっかしい心理描写がリアル

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サリンジャー ライ麦畑でつかまえて このあらすじは、野崎孝訳「ライ麦畑でつかまえて」(白水Uブックス)を基にしています。

 ホールデンの語る物語は、高校を退学させられると決まってから、衝動的に寮を飛び出す土曜日から始まり、月曜日で終わります。
 このわずか三日間に様々な出来事がぎゅっと圧縮されて詰め込まれている印象です。


 *文中の登場人物名をクリックすると、登場人物紹介のページが開きます。
 *村上春樹訳との翻訳比較もしてみました。
 村上春樹訳「キャッチャー・イン・ザ・ライ」との翻訳比較



 この作品は、ホールデンが兄のD・Bに聞かせたことと同じ話を、読者にも話して聞かせるという設定になっています。

一日目(土曜日)

 午後三時ごろ、ホールデンがフットボールの試合を見ているところから話が始まります。

 とにかく、僕は、そのイカレタ大砲のそばに突っ立って、ケツももげそうなくらい寒い中で、下の試合を見てたんだ。(本文より引用)

 スペンサー先生に別れのあいさつをしに行くと逆に説教をされ、寮に戻ると隣室のアクリーには読書の邪魔をされ、ルームメートのストラドレーターとはケンカとなり、孤独感に堪えられなくなったホールデンは衝動的に学校の寮を飛び出してしまいます。

 急にあることを決心したんだな。ペンシーから飛び出してやれ――そのまま、その夜のうちに飛び出してやれ――そう僕は決心したんだ。(同上)

 みんなが寝静まった深夜、彼は捨て台詞を残して、学校を飛び出します。

 ありったけの声を張り上げてどなったんだ――「がっぽり眠れ、低脳野郎ども!」ってね。(同上)

 汽車に乗ってニューヨークに向かったホールデンは、変態ばかりのホテルに泊まりますが、ホテルのエレベーター係モーリスに声をかけられ、気がすすまないのにサニーという売春婦を部屋に呼んで、ひどい目にあいます。

二日目(日曜日)

 女友達のサリーを電話で呼び出してデートをします。
 ホールデンが本当に会いたいのはジェーンという女の子なのですが、何故か電話する気にならず、大して好きでもないサリーを呼んでしまいます。
 デートの途中で口論になり、ホールデンの不注意な一言で彼女はカンカンになって帰ってしまいます。

 この頃から、ホールデンの言動が段々おかしくなってきます。

 バーで友人のルースと飲み、散々酔っぱらった後、あてもなく公園のベンチに座ってガタガタ震えながら、ホールデンは「死」について考えます。そして、死んだ弟のアリーのことを想います。

 アリーの墓石にも雨が降る。あいつの腹の上の芝生にも雨が降る。そこらじゅうが雨なんだ。(本文より引用)

 この後、両親が不在の家にこっそり帰ったホールデンは10歳の妹のフィービーと話をします。
 フィービーは10歳にしてはとても賢い少女で、ホールデンにとって最大の理解者でもあります。
 ホールデンは、自分の思いを彼女に真剣にぶつけます。

 「兄さんは世の中に起こることが何もかもいやなんでしょ」
 「違う。違うよ。絶対にそんなことはない。だからそんなことは言わないでくれ。なんだって君はそんなことを言うんだ?」(本文より引用)
 
 (中略)

 「アリーは死んだのよ――兄さんはいつだってそんなことばかりいうんだもの!」
 「アリーが死んだのは僕だって知ってるよ!(中略)死んだからって、好きであってもいいじゃないか、そうだろう?」(同上)
 
 (中略)
 
 「そんなの、実際のものじゃないじゃない!」
 「いや、実際のものだとも!実際のものにきまってる!どうしてそうじゃないことがあるものか!みんなは実際のものをものだと思わないんだ。クソタレ野郎どもが」(同上)

 この後、作品の題名にもなっている「ライ麦畑でつかまえて」の話が出てきます。

 ホールデンの心の底にたまったものが思い切り吐き出される、このフィービーとのやり取りのシーンは、この物語のハイライトと言ってもいいと思います。

 この後両親が帰宅したため家を抜け出たホールデンは、以前の学校で世話になったアントリーニ先生の家に泊まりますが、ここでもひと悶着あって、結局駅の待合室で夜を明かすことになります。

三日目(月曜日)

 家に帰る気がなくなったホールデンは、ヒッチハイクで西部に行こうと本気で考えます。
 一緒に行きたいというフィービーに対して本気で怒ってしまい、ケンカになってしまいます。
 自分を許してくれないフィービーと何とかして仲直りしようと必死のホールデンは、西部に行く気もなくなってしまいます。
 
 家に帰ることを決心したホールデンは、フィービーとも仲直りをします。そして、回転木馬に乗るフィービーを、雨にぬれながら眺めているところで物語は終わります。

 フィービーがぐるぐる回りつづけてるのを見ながら、突然、とても幸福な気持ちになったんだ。(中略)なぜだか、それはわかんない。(同上)


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